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EMS(環境マネジメントシステム)とは?メリットや実施方法をご紹介

電気代やCO2排出量の削減を検討されている方の中には、「EMS(環境マネジメントシステム)」というシステムを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

今回は、「EMS(環境マネジメントシステム)」とは何か?概要や実施するメリット、実施する方法やEMS認証制度について分かりやすくご紹介いたします。

EMS(環境マネジメントシステム)とは?

EMS(Environmental Management System)環境マネジメントシステムとは、企業が環境への取り組みを実施する際のプロセスや体制の総称です。

EMS(環境マネジメントシステム)の内容は主に以下の通りです。

  • 目標設定(CO2排出量を20%削減など)
  • 目標達成までのプロセス(PDCA:計画→実行→評価→改善)
  • 目標達成に必要な工場や事業所内の体制づくり など。

EMS(環境マネジメントシステム)では、「​​CO2排出量を20%削減する」「工場の製造過程で排出される廃棄物を削減する」「製品に使用しているプラスチックを◯%減らす」などの具体的な目標を設定し、PDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))に沿って継続的な改善や目標達成を目指します。

※「EMS」という単語は、工場や事業所のエネルギー管理や分析、制御などを支援するツールの名称としても使われます。この場合の「EMS」は、エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)となり、EMS(環境マネジメントシステム)とは異なりますのでご注意ください。

EMS(環境マネジメントシステム)を実施する4つのメリット

1:コスト削減が期待できる

EMS(環境マネジメントシステム)によって、環境への取り組みを実施することで電力や資源などのコスト削減が期待できます。

  • エネルギー消費のコスト削減
  • 製品投入処理の効率化、代替原料の使用、並びに副産物や廃棄物をリサイクルすることによる材料コストの節減
  • 資材保管コストの削減
  • 排気、排水、廃棄物処理・輸送・廃棄に伴うコストの削減
  • 保険料の節約 など。

2:生産性の向上に繋がる

EMS(環境マネジメントシステム)はPDCAサイクルに沿って実施していくため、既存の業務体制を見直すきっかけが生まれ、これまで見えていなかった作業工程の無駄を発見するなどの業務改善に繋がり、生産性の向上が期待できます。

3:企業として社会的責任を果たしている認証が得られる

EMS(環境マネジメントシステム)には、正しくマネジメントが構築され正しく運用されている際に取得できるEMS認証制度があります。

社会的にも信頼性の高いEMS認証を取得することで『環境への影響を管理する取り組みを行っている』と証明され、大手企業の取引条件に対応できたり、顧客や消費者の間での企業イメージの向上などが期待できます。

4:低金利の融資を受けられる場合がある

EMS認証を取得した場合に限りますが、一部の金融機関ではEMS認証を受けている事業者に対して通常より低金利の融資サービスやプランを用意している銀行があります。

EMS(環境マネジメントシステム)を実施し、EMS認証を取得することで銀行からの融資を受けやすくしたり、低金利の融資を受けることが可能です。

EMS(環境マネジメントシステム)を実施する方法

EMS(環境マネジメントシステム)は、基本的にPDCAサイクルに沿って実施します。

  1. Plan(計画)…CO2排出量や廃棄物排出量の削減など、自社の環境方針を策定し目標を決めます。目標達成までスケジュールや取り組み内容の計画を立てます。
  2. Do(実行)…取り組み方法をマニュアル化し社内で実施します。
  3. Check(評価)…実際の効果を評価します。問題点の有無、改善点を確認します。
  4. Action(改善)…改善できるよう新たに計画やマニュアルを見直し、実施します。

PDCAサイクルを繰り返すことで、継続的に運用改善ができ目標を達成しやすくなります。PDCAでは評価して改善することが重要となっており、評価をしやすくするためには、目標は必ず定量的な数値まで落とし込む必要があります。

目標を数値化しておくことで、評価時に具体的な改善案を立てることができます。

EMS(環境マネジメントシステム)の認証制度

先述した通り、EMS(環境マネジメントシステム)には、正しくマネジメントが構築され正しく運用されている際に取得できるEMS認証制度があります。第三者機関のEMS認証を取得することによって、消費者や取引先からの信頼度向上が期待できるほか、金融機関の低金利の融資が受けやすくなります。

EMS認証制度想定事業者取得難易度取得期間目安
ISO14001大企業向け膨大な労力が必要10~12ヶ月
エコアクション21中小企業~大企業向け労力が必要8~10ヶ月
エコステージ全事業者向け難易度が5段階に分かれる6~9ヶ月

1:ISO14001認証

ISO14001とは、EMS(環境マネジメントシステム)に関する国際規格です。 ISO14001を取得した組織や企業は、地球環境へ配慮した企業活動を行っている組織であると国際的に認められることになります。

  • 規格制定者…ISO(国際標準化機構)
  • 主な特徴…国際的に認められた第三者認証制度で信頼性が高く海外でも通用する。
  • 環境目標…環境側面、法的要求、技術上の選択肢、利害関係者の見解などを考慮する。
  • 審査費用…初年度80万円~150万円程度
  • 更新手数料…10万円程度
  • 定期審査…1、2年目に定期審査、3年毎に更新審査

ISO14001は、国際的な認証制度となるため国外へのアピールに活用したい企業におすすめの認証制度です。一方、取得するまでに膨大な労力がかかるため、EMS(環境マネジメントシステム)を実施するうえで人手が割けない中小企業には不向きです。

ISO14001を取得するためには、民間のIOS認証機関に審査申請を行います。

2:エコアクション21

エコアクション21とは、環境省が策定した日本独自のEMS(環境マネジメントシステム)です。 ISO14001と比べると認証条件が低く取得しやすいEMS認証です。

エコアクション21を取得した組織や企業は、三井住友銀行やみずほ銀行などの大手銀行や地方銀行の低金利の融資が受けやすくなります。

  • 規格制定者…環境省
  • 主な特徴…審査料金が最も安く、環境経営の具体的な活動がまとめられており取り組みやすい。
  • 環境目標…主に6つ。CO2削減、水削減、廃棄物削減、化学物質削減、本業に則した目標、グリーン購入など。
  • 審査費用…21万円程度
  • 更新手数料…50万円~70万円程度
  • 定期審査…2年毎に更新審査

エコアクション21は、EMS認証制度の中では最も審査料金が安く、取り組みやすい認証制度です。エコアクション21を取得するためには、最寄りの地域事務局に審査申込を行います。

環境省:エコアクション21公式サイトはこちら>

3:エコステージ

エコステージは、一般社団法人エコステージ協会によるEMS認証制度です。

中小企業でも導入しやすいEMS国内規格の一つとなっており、審査時には評価員からのアドバイスを受けることができ、確実に認証を得ることができます。

  • 規格制定者…一般社団法人エコステージ協会
  • 主な特徴…企業の利益貢献を重視しており、評価員によるコンサルティングが受けられ、認証取得は確実にできる。
  • 環境目標…評価員と相談の上決定。
  • 審査費用…42万円程度
  • 更新手数料…21万円程度
  • 定期審査…毎年1回定期評価、3年毎に更新評価

エコステージを取得するためにはエコステージ公式サイトから認証取得を申込みます。

まとめ

今回は、EMS(環境マネジメントシステム)の概要や実施するメリット、実施する方法やEMS認証制度についてご紹介しました。

EMS(環境マネジメントシステム)を実施するには、自社の環境目標を策定し、計画的に PDCAサイクルを回して評価・改善を繰り返すことが重要です。

評価・改善時には「◯%目標を達成しているか」「◯%CO2排出量を削減できたのか」など都度、具体的に数値化していく必要があります。

「CO2排出量やエネルギー使用量など、どのように数値化したら良いのか分からない」

「EMS(環境マネジメントシステム)の実施方法が分からない」

という方は、コンサルティング会社に依頼すると良いでしょう。

弊社株式会社エシカライズでは、中小企業向けの『CO2削減コンサルティングサービス』をご提供しています。

貴社に合った効率的な環境対策をご案内し、効果を算定、改善施策のご提案に至るまでPDCAサイクルに沿って、EMS(環境マネジメントシステム)運用をご支援いたします。

EMS認証取得のサポートも行っておりますので、

「EMS(環境マネジメントシステム)の実施方法を教えてほしい」

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という方はお気軽にお問い合わせください。

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